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本ゲット。土日は読書ばかり。

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  • 三崎亜記「廃墟建築士」
  • 高橋慶太郎「ヨルムンガンド」 6巻

「廃墟建築士」は「となり町戦争」の三崎亜紀氏の短編集。
この現実とは少しだけ価値観がずれた世界。
ほぼ現実と同じ姿なのに、価値観をすこしずらしただけで異形の世界が構築される・・・
まさに妙技。まだ読了していないけど、途中まで。

  • 七階闘争
ほとんど現実と変わらない世界。町中で起きるいくつかの事件。
子どもの火遊びによる火事、独居老人の孤独死・・・現実でも起きるような、ごく普通の事件。
たまたま、そのうち多くは、7階で起きていた・・・

これらの事件から「7階は犯罪発生率が高い」「7階を撤去せよ」と行政による7階撤去が
決定され、7階に住む主人公は7階住民による「7階護持運動」に巻き込まれていく・・・
というストーリー。


現実の世界にも存在する「階数」という属性。現実は1階、2階・・・と1ずつ増えていくだけの
ものであって、絶対値として特別視されることはない。例えば、「高いところに住みたい」とは
言うけど「5階に住みたい」とはあまり言わない。
この相対的に認識される属性が、絶対的に認識されるように少し変更するだけで、異形の
世界が誕生する、と。
ほぼ現実と同じ。でも決定的に異なる感じがとても好きだなぁ。

  • 廃墟建築士
廃墟の意義。
曰く「廃墟は時の流れによって醸成された『魂の安らぎの空間』である」。
癒しの装置として、最初から「廃墟として利用する」ために、建物を建築する世界。

廃墟建築の専門家である主人公。
廃墟に魅せられ、死ぬまで廃墟を作り続けた主人公の師匠。
時代の寵児として、多くの高層廃墟を手がける主人公の弟子。

それぞれの行動規範は現実世界の人間とまったく同じ。価値観もある意味同じ。
(僕も廃墟の写真集を立ち読みくらいはするし、廃墟好きかもしれない)
ここまで同じでも異形の世界が生まれるという面白さ。


少し初期条件を変えてあげるだけで世界を変える。複雑系な三崎亜記ワールド。

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このページは、yacchinが2009年4月21日 08:28に書いたブログ記事です。

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