しばらく積読になってしまっていたが、三崎亜記「廃墟建築士」読了。
以前短編2本の感想を書いたけど、
最後の話「蔵守」が非常に面白かったので、簡単に。
意識を持つ「蔵」と、その蔵を一人毎日守り続ける「蔵守」。
互いに蔵の中に何が入っているのかは知らない。ただ、守り続けるのみ。
そして、その蔵を攻める「略奪者」たち。彼らは蔵の中の何かを求め、蔵を攻める。
蔵と蔵守の視点で略奪のない平和な日々が描かれ、略奪者の視点で略奪が描かれる。
守るべきものはその蔵の内側にあるのか、外側にあるのか?
また、過去にその蔵が守ってきた何かなのか、
未来にその蔵が守るであろう何かなのか?
それとも、そんなことではなく、今、ここにある蔵そのものが守るべきものなのか?
色々なことを考えさせられる。
いったい、自分は何のために生きているんだろう?とか、そういうことにもしかすると
シンプルな答えを出してくれる作品かもしれない。
(当然、読む人によって解釈は変わると思うが、少なくとも自分はそう受け取った。)
60ページでここまで考えさせてくれる三崎亜記先生に脱帽。
短編4つで1300円は安いなぁ。
コメントする